シーズン終了、帰宅後最初の家庭サービス

IanPoulter賞金王決定戦、Race to Dubaiが終了した欧州ツアー。待っていたのは、クリスマスを控え、浮き浮きの子供達。

ライダーカップの常連、イアン・ポルター。彼の家族が住むのは、英国ミルトンケインズ。まだ幼い2人。リリーとジョシュアは、パパに飛び付く。

米ツアーは、正月明けのハワイ迄、約一ヶ月の休戦。一方の欧州ツアーは、月が変わればアフリカ、中東湾岸地区で、新しいシーズンが開幕する。それでも多くが、クリスマス休暇を優先させる。年齢的にツアープロは、子育て世代。それだけに尚更だ。手には一杯お土産を持って。

CUnVPEfUkAItzf3ポルター家のサンタが、持参したギフトの一つは、新しいピザのオーブン。長旅の疲れもものかは、パパは早速料理の腕を振るう。勿論2人の幼子と一緒に。嬉しさと真剣さが、同居したポルターの表情。彼はそれを、仲間内に早速ツイッターする。私の処へも届いたことで、早速読者の皆さんに、嬉しい話のお裾分け。

種目は違うが、ポルターは同じ英国人として、サッカーのベッカムに匹敵する、豊富な話題性の持ち主。全英オープンで、英国国旗ユニオンジャックをあしらった、派手なズボンを着用。それが、また似合う。

メジャーには手が届いていないが、WGCではマッチプレー選手権と上海で2勝。日本のダンロップフェニックスでも優勝している。ライダーカップは5度代表に選ばれ、そのうち4度は欧州チームを、優勝に導いている。強いカリズマ性。四十代後半になる十年後、キャプテンの有力な候補だ。

この2枚の写真が示すポルター。繰り返すが真剣そのもの。ツィッターに関しても、ポルターは、早くから手掛けてきた。日本人も記憶があるはず。WGCのドラール。このとき同組だった松山が、グリーン面をパターで叩き、顰蹙を買ったことがある。その時ラウンド後、いち早くツイッターしたのが、ポルターだった。

IMG_0152掲載した3枚目の写真。こんがり焼けた七面鳥を前に、表情を緩める。彼がジム・ヌジェント。私の記者仲間は、Global Golf Postの創業者編集長。

欧州はクリスマス中心。むかし招かれて年末年始を過ごした、英国やアイルランドの知人の家。そこではイブに全員で七面鳥を食べた。

一方の米は11月最終木曜日が感謝祭。余談だがこの週末。カレッジのフットボールは、シーズン一の好カードが組まれる。Pac12ならUCLA対南加大。中西部ではオハイオ州立大vs.ミシガンなど。それが理由でこの日午後、ゴルフ場はガラガラになる。

それが終わると、街にはジングルベルが流れる。何れにしろ子供達には、一年で最も楽しい時。そのタイミングで、旅の多いパパが、どっさりの土産と共に帰宅する。その姿は、まさに大きな袋を担いだ、サンタクロースそのもの。

そして米欧ツアーとも、瞬く間に、2015~16年シーズンが本格化する。

何処でトーナメントがあろうと、日曜夜には帰宅できる日本。欧米ツアーは、一度旅に出ると、ホテル暮らしが数週は続く。一つの大きな違いだし、タフなビジネスだ。

(Nov.30.2015)

新たな名誉G・ノーマンメダル。初の受賞者は誰か

12月1日に授与されるメダルを、誇らしげに披露するWhite Sharkノーマン。全英オープン2勝。プレジデンツ杯キャプテン2度。彼の実績は世界のゴルフ発展に、多大な貢献をした(courtesy of 豪州PGA)

12月1日に授与されるメダルを、誇らしげに披露するWhite Sharkノーマン。全英オープン2勝。プレジデンツ杯キャプテン2度。彼の実績は世界のゴルフ発展に、多大な貢献をした(courtesy of 豪州PGA)

グレッグ・ノーマンメダル。聞き慣れない名前。12月1日、豪州で初の受賞者発表と、授与式が行われる。

20世紀初頭からの、過ぎ去った百年で、最強ゴルファーはニクラス。彼以上の才能を秘めたプロを探すと、それは疑うことなく豪州人ノーマンだった。ただし攻めが淡泊と言うか、大詰めで相手にツキを与える。或る種エラーが多数あった。それでなければ、四大タイトルを20個は獲ったはず。私は今でも、そう信じている。

人口僅か2千3百万の豪州。日本の六分の一。それでも五輪を中心にスポーツは強国。西暦2000年のシドニー五輪。この招致にはノーマンが大きく貢献。開会式、彼はロイヤルボックスで、各国選手団に拍手を送っていた。押しも押されぬ、豪州を代表する顔。

ゴルフ界には、全英5度優勝の、ピーター・トムソンもいる。だが歴史を振り返り、今後への影響を考慮した時、ノーマンの存在が圧倒的だった。

メダルの目的は「男女を通じ、世界の舞台で活躍した豪州人プロを、毎年選考し表彰。豪州のゴルフを、さらに発展させること」。そのための晩餐会が来週水曜日。全豪プロ選手権会場の、ロイヤルパインズで開催。その場で発表と表彰が行われる。自分の名前が付いたノーマンは「これに勝る名誉はない」と紅潮している。

選考委員は少人数だが、ベーカーフィンチ、グラハム・マーシュ。女子プロのジェーン・クラフター達、豪州ゴルフ史を飾ってきた重鎮が揃う。

南半球の豪州は、これからが夏。ゴルフシーズンも本番。先週からマスターズ、オープンそしてプロ選手権。豪州の3大競技が続いている。そのノーマンメダル。数年前までなら、本命は疑うことなくスコットだった。その主役が、ジェイソン・デイに交代した。

彼は四大競技中心の夏の間、コンスタントな成績を残す。そしてシーズン最後のメジャー、全米プロ選手権で、20アンダーのビッグスコアで優勝。これが効きマキロイ、スピースを押しのけ、世界ランク一位にも躍り出た。

デイは白人の父親を、早く亡くしている。女手一つで育ててくれたのは、比国出身の母親。母子家庭では、それなりの苦労もあったはず。そんな環境で、昨年比国を巨大台風が襲った。その時イの一番に義援金活動を開始。それは継続的に行われている。

処で世界には、多くの勲章がある。日本を代表するのは、差し詰め文化勲章か。他に目を移せば、米の大統領金メダル、議会金メダルが有名。受賞理由は国の発展に、大きく寄与した功績。その中には、文化やスポーツも含まれている。ゴルフ界の歴代受賞者は、バイロン・ネルソンに続き、パーマーとニクラスがいる。英国なら女王陛下から贈られる、ナイトの称号に値するはずだ。

敢えてもう一つ付け加えると、マコーマック・メダルがある。これは男女のアマチュア世界一位が対象になる。ノーマン・メダルは、それらに匹敵する高い目的と、格調高さがある。

誰が受賞するにせよ、大変な名誉が付き、励みになる。この様なメダルが、日本で具現化する。果たして何年先になるのだろうか。

(Nov.23.2015)

初優勝早くも5人目、新鮮な効果に沸く米ツアー

輝く笑顔の初優勝者マルナティ。そればかりか彼が手にしている、ニワトリの優勝杯が、如何にも深南部的。そして胸のロゴマーク。これはMLBのマーク。日本でもプロが、カープやベイスターズのロゴ入りシャツを着れば、野球ファンもゴルフに、関心を持つこと間違いない(PGA TOUR.com提供)

輝く笑顔の初優勝者マルナティ。そればかりか彼が手にしている、ニワトリの優勝杯が、如何にも深南部的。そして胸のロゴマーク。これはMLBのマーク。日本でもプロが、カープやベイスターズのロゴ入りシャツを着れば、野球ファンもゴルフに、関心を持つこと間違いない(PGA TOUR.com提供)

大相撲で初めて番付に載る時は、四股名の文字が小さく、拡大鏡が必要。そのため虫眼鏡の別名がある。

米ツアー15~16年シーズン。これ迄終了した5試合(今週のメキシコは、最終日が月曜に延期)。全員が初優勝。その中でもピーター・マルナティは、今年正月WR 501位。それより前ベガスで優勝した、スマイリー・カウフマンは今年が始まった時、何と1548位だった。まさに虫眼鏡の世界。

優勝は未だだが、パットン・キザイアも、偶然にも1548位タイだった。190センチを超す長身。初優勝を虎視眈々狙っている。若手が次々台頭する。ファンにとっては、堪らない魅力。そんな中注目したのは、Sanderson Farmsだった。大雨で月曜9日に終了した。マルナティが持つニワトリの優勝杯でも分かる通り、大きいとは言え農園が冠企業。それも南部ミシシッピ州の。

まず気に入ったこと。ベガスで勝ったカウフマンが、上海へ行かず、賞金僅か410万ドルを選んだこと。生まれ故郷が隣州アラバマ。大きくなった自分の名前で、深南部でのトーナメントを、盛り上げようとした。23歳称賛に値する。

余談だが11月第一週、日本で行われた米女子ツアー。そこでキム・カウフマンが目立った。早速志摩に連絡。「兄弟かい?」と尋ねた。答えは「残念ながら」だった。とは言えキムは、別の過疎地域サウスダコタの出身だった。いま米では、この様な過疎地からのプロが増えている。

話しはマルナティに戻る。ミズーリ州立大を出て、09年プロ入り。そんなことでMLBロイヤルズの、熱狂的なファン。この写真でも分かるように、最終日彼が着用したウエアは、MLBロゴの入った、ロイヤルズ・ブルーのシャツ。ワールドシリーズ優勝チームの、俄ファンではない。この夏には、レギュラーシーズンのロイヤルズvs.ホワイトソックス戦で、始球式も演じている。

そんな実績を買われ、現在はMLBのブランド大使。素晴らしい活躍だ。

ここで二つ、参考になることがある。深南部ミシシッピやアラバマは、日本のゴルフに置き換えると、島根や鳥取。日本でも「各県で一つ、男子プロ競技を」との意見もある。その場合、賞金は5千万でも3千万でも充分。目的はゴルフの普及なのだから。Sanderson Farmsは、そこで既に成功例を見せてくれた。

もう一つは、他のスポーツとの関係を深めること。それによって相互扶助の付加価値が生じ、ビジネスの規模が拡大。米の場合、増収益金を後継者の育成。そして病と闘う、子供達への支援などに充てている。そもそも米ツアーの、稼ぎ頭はチャリティ基金。入場料を低く設定し、多くの観客を入れれば、大きな社会貢献が可能になることが分かる。

23歳のカウフマン。繰り返すが彼は、高額賞金のWGCを蹴って、半分以下のSanderson Farmsに出場した。この侠気、大衆に訴える力は強い。これほどの舞台裏の面白さ。それにも拘わらず、松山も遼もいないことで、日本のメディアは端から相手にしない。だが興味ある話、さらに参考になる事例は数多あった。日本のゴルフが、それを学ばない。勿体ないことだ。

(Nov.16.2015)

米でのタイガーのキャデイ論争。不肖私に軍配

かつては、こんな協力時代もあった、タイガーとスティーブ。人生ズッと、口が滑り続けるスティーブ。口は災いの門、の諺は生きていた(Global Golf Post)

かつては、こんな協力時代もあった、タイガーとスティーブ。人生ズッと、口が滑り続けるスティーブ。口は災いの門、の諺は生きていた(Global Golf Post)

「私は、時に奴隷だった」。

かつてタイガーのキャデイとして、多くの優勝に貢献した、NZ人スティーブ・ウイリアムズ。彼が近著で、こんな世迷い言を並べた。それに対し、私はGlobal Golf Post誌上で、強く反論した。

「そう思えば、その様に受け止められる事実を、多く知っている。具体的な光景も、目撃してきた。だがタイガーは集中力が高く特別の存在。彼のバッグを任されたことで、スティーブは並のプロを凌ぐ、高収入を得、カネ持ち(Rich & Famous)になった。だからスティーブは、昔のことを暴露する愚を、侵すべきではない」。

読者の多くは米人。基本的な考えが、私と異なる者も少なくない。民主主義でも、数十%は反対意見があるのだから。彼らの反論。それは「だからどうした?」的な難癖。私は長期の取材で目撃した事実を、一つ各々説明し論破した。

西暦二千年。タイガー絶頂の頃。ペブルビーチで全米オープン、初優勝を果たす。この時米の記者仲間と計算したら、スティーブはキャデイながら、年間の稼ぎが百万ドルを超えていた。この額、並みのツアープロを凌ぐ。円安の現在だと1億2千万円。

キャデイは裏方。高い技術は必要だが、それは必ずしも、タイガーたち競技者ほどのモノではない。それでも人生夢の百万ドルを、この後もズッと稼ぎ続けた。それで居ながら、解雇された際、タイガーを批判した。身勝手な男。

普通キャデイは、ティタイム1時間前にスタンバイする。それに対し、スティーブは2時間前。タイガーの用具を準備。その後は一人黙々と、新聞などを読む。雑談はしない。と言うより、顔見知りの私でさえ、声を掛け難い程の雰囲気。

金看板タイガーのキャデイだ。その程度は当たり前。私はそう受け止めていた。

これが奴隷に対する、態度だろうか(Global Golf Post)

これが奴隷に対する、態度だろうか(Global Golf Post)

スティーブとの出会いは、彼が二十歳を過ぎて程ない頃。グラハム・マーシュのキャデイで来日。次いでノーマン。その頃「シャークと私」などの記事も書いている。90年代になり私が、ゲイリー・プレーヤーのキャデイをする。この時、後半2ラウンドの同組はフロイド。キャデイはスティーブ。パートの私など、逆立ちしても敵わない、キャデイとしての、経験を見せていた。

それでも昔から、口が災いをもたらしていた。1989年ノーマンは、クラウンズで優勝する。跳ね発ちで成田に向かう新幹線。その車中でノーマンに、解雇されている。同行した代理人の話に因ると、スティーブがノーマンに食って掛かった。誰のお陰でグリーン車に乗れ、キャデイとして高額の優勝ボーナスを得られたのか。双方を長く知るだけに、私はスティーブに軍配を、上げることは出来なかった。

ニュージーランドでのトークショー。ここでのミケルソン批判もあった。そして遂に今回の奴隷発言。ツアーの有名キャデイ、ミケルソンのボーンズ。プロ転向後暫く、タイガーのバッグを任されたフラッフ。それよりタイガーの現在のキャデイ、ラカバ。彼は声を掛けられた時、稼げるダスティン・ジョンソンの仕事をしていた。それでも「天下のタイガー。機会は滅多にない」と判断。ダスティンも同意し、送り出している。スティーブの様な、もめ事は一人として起こしていない。タイガーが特別の存在であることへの理解。それがあるからだ。

スティーブへの私の友好関係は、今後も不変。とは言え「大馬鹿を演じた」。それが私の率直な判断。この先ツアープロ達の、スティーブへの警戒が厳しくなる。それは否定できない。

(Nov.09.2015)

誰か判りますか? 凄い、80歳の大胆ヌード

6a00d8341caaef53ef0192abef7422970d-800wi圧倒されるでしょう。この人、誰か、勿論判りますよね。そう、かつて南アの黒豹、ゲイリー・プレーヤー。1935年11月1日生まれ。80歳の誕生日を、いま祝っている(いま彼が主に住む米国は、未だ1日)。ちなみにビッグ3の他の2人は、パーマー86歳。ニクラス75歳。

この写真は数年前、米のスポーツ専門局ESPNに掲載された時のもの。その時点で既に七十代の後半。贅肉一つない身体と、はち切れんばかりの大腿部。そして黒々とした体毛。こんな芸当が出来るのは、ゴルフ界広しと言えども、フィットネスおたく、ゲイリーしかいない。

実は私、ゲイリーの全裸を、生でしっかり目に焼き付けている。かつて南アフリカは、アパルトヘイト政策を固持。それが理由で世界の多くの国、そして五輪などからも、閉め出されていた。日本もその一つ。その禁が解け久々に来日。私はその時トーナメントで、一週間ゲイリーのキャデイを任された。勿論二十数年前のこと。

それより前、私はロープの内側(Between the Ropes)の連載を開始していた。通常の取材では届かない、競技中のプロの心理状態。その領域での報道。手始めがピア・ニルソン。いま人気絶頂のティーチングプロ。続いて超大物、トレビノ、チチ。四人目がゲイリーだった。

選んだ条件は二つ。世界的なプロであること。上背が私と変わらぬこと。

ゲイリーの表示は170センチ。実際は167センチ。小さい人は鯖を読むもの。だが腕が非常に長い。手長猿の如し。だから身長以上の、大きなスイングアークが可能になる。長胴短腕の我々の逆。更に凄かったのが、二十歳の若者さえ脱帽する、引き締まった腹筋だった。

日本へ戻ってきた時、記者会見したゲイリーと、同席した私。この写真は、日本のゴルフダイジェストの、グラビアにも掲載された

日本へ戻ってきた時、記者会見したゲイリーと、同席した私。この写真は、日本のゴルフダイジェストの、グラビアにも掲載された

ツアープロたちは跳ね発ち。最終日成田へ向かう前に、大多数がゴルフ場で入浴する。脱衣場で待つ私の前に、有名プロがフルチンで、次々現れる。余談だが彼らは風呂で、前を隠さない。シニアのプロだから、多くが太り気味。そんな中ゲイリーの裸体は、圧巻だった。

プロとキャデイの一週間。ラウンド後、一緒に遅い昼食をする。一日重いバッグを担いだ私は、当然のように、大きなジョッキのビールを飲む。それに対しゲイリーは、同じ大ジョッキでも並々の牛乳。そして、こう言われた。

「デューク、無理強いはしない。でも身体のことを考えたら、ビールより牛乳だと思う」。

朝食で、私はかりかりに焼いたベーコンが大好き。ゲイリーは、ベーコンばかりかソーセージ類にも、手を付けない。

好むのは黒パン。タップリの野菜、果物と乳酸品。そして魚類etc。

「私は、伝統的な日本食が好き。健康食だから。それ故むかしの日本人は、病と無縁だった」と自説を説く。

「ベーコン、ソーセージ等はコレステロールの元。それが心臓の機能に、マイナスに作用する」。これが理由だった。

そして80歳の、いま現在でも、これだけの肉体を、マスメディアで公表する自信。ローマならず、健康も一日では成らず。この部分、ゲイリーにはただただ、脱帽するばかりだ。Happy Birthday Gary。

(Nov.2nd.2015)