英国人Danny Willettの優勝は、欧州勢の底力

(PGA TOUR.com)

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29歳、180センチの英国人。取り立てて大柄ではないが、プロ入り前のハンディは、プラス5の高い実力レベル。

それより前「最近の25年で、そのうちの21年は、最終組から優勝者が、出ている」データ。ツアー僅か1勝スマイリー・カウフマンは兎も角、スピースにとっては、連覇への後押しになる好材料。

一方のウイレットは、最終組の3組前、2時15分。同国の先輩、ウエストウッドとのティタイム。当然狙う好位置。そこでボギー無し、5個のバーディを、綺麗に積み重ねての逆転優勝。英国人としては、1996ファルド年以来の優勝だった。

トーナメントは、毎日筋書きが変わる。さらにそれは一日の、前半と後半で、どんでん返しさえある。

第一ラウンドから、首位を快走したジョーダン・スピース。日曜日も一時2位に5打差を付けている。多くが「優勝は決まりか?」と諦めかけた矢先、予期せぬことがが起こる。

英語ではquadruple parと言うが、「世界一美しいが、世界で最も難度が高いパー3」12番で、ティショットを連続して、クリークに落とし信じ難い「7」を叩いたことだ。  大きく順位を落とす。だが15番パー5でバーディ。これで歯止めが利くか、と思われた。だが16番で8フィートが入らず。さらに17番でボギーを打ち、3組前ウイレットの逃げ切りを許した。

処で英国の国旗は、ロイヤル・セントジョージズ。白地に赤の十字。最終日の前半。ウイレットを筆頭にウエストウッド、ケーシー、フィッツパトリック、ローズ、そしてマキロイ迄。そればかりかデンマークの十字までもが、上位に並んだ。

かつてマスターズは、欧州勢の席巻が、長く続いた。先鞭を付けたのはセベ。その後88年ライルを皮切りに、89、90年ファルド。続いてウーズナム。ランガーとオラザバルが各々2度優勝。そんな時代があった。マスターズの舞台、オーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブは、基本的にリンクスタイプなのだ。

ウイレットの3日目迄のスコアは、70、74、72。イーブンでいれば、最終日何処からでも狙える。それに比べ土曜日のラウンドで、バーディが出ず77だったマキロイ。それでも「最終日の予測は、誰にも困難。僕の場合も好調に飛び出せれば」。

2011年のマスターズ。3日目まで圧倒的な独走を続けながら、勝ちを逃したマキロイ。生涯グランドスラムへの道は、まだ遠そうだ。

そんな中、日本のマスコミは、松山の2年連続トップ10を、さぞや絶賛したことだろう。だが一方で複数のアマチュアが、今回も36ホールのカットをクリアしている。それは松山ばかりか、日本のマスコミが、気付かない範囲で、新陳代謝が否応なしに、進んでいる証拠なのだ。新しい勢力は、何時何処からでも飛び出してくる。

松山にしても、2017年トップ10に三たび手が届く保証は、何処にもない。

(April.11.2016)