松山やスピースが生まれた時、この人は既に大学生。アマチュアで、ツアー優勝も飾っていた。そしていま前述2人の若手が主役を張る2016年シーズンも、この時期既にターゲットを、4月のオーガスタ。そして6月のオークモントに置いている。オークモントは、言わずもがな全米オープン。ミケルソンにとっては、見果てぬ夢を追う舞台だ。
最大164人が出場する、ゴルフ競技。それでも優勝と言うパイは一つ。ミケルソンがこの世界にデビューした頃は、ノーマン、ファルド、アーウイン達の世代。それがスチュアート、カプルス、タイガー達を経て、今いわゆるビッグ4。マキロイ、スピース、デイそしてファウラーの時代。
私、ジャンボ尾崎の時も、時折り引用する。これだけの成績。一般企業なら代表取締役社長の業績。それが息子ほど、歳の離れた若者と五分で接する。年齢を意識したら、到底できる事ではない。それでも直向きにバーディを追う。それを45歳ミケルソンは今季、既に2週演じている。
一度は彼にとっての、今季の緒戦パームスプリングス。この時は3位。それ以上に迫力を誇示したのが、2週前のペブルビーチだった。
3コースで開催される、Nationalプロアマ。スパイグラスヒルでの、第一ラウンドを丁寧に乗り切ると、金曜以降の2コース(モントレーペニンシュラとペブル)もバーディを積み重ね通算16アンダー。単独首位で最終日。5度目の優勝は目前の状態だった。
だが日曜日延びない。それでも海に打ち出す強いホール17番で、乾坤一擲のバーディ。最終日だけで7アンダーの大まくりで終了していた、テイラーの17アンダーに並ぶ機会。だが18番で、短いバーディパットが沈まず、万事休した。これがこの時の写真だ。
続くリビエラ(ノーザントラスト)は、過去複数優勝している、相性のいいコース。「三度目の正直」を狙って、不思議でない状況。だがミケルソンは、一顧だにすることもなく、自家用機の方向を、東に向けている。彼にとっては目の前の、並みのトーナメントの一勝でなく、四大競技での勲章。ことに全米オープンのタイトルの必要。それがひしひしと伝わる決断だった。
ペブルでの最終日。スイングはほぼプレーンに添って振られていた。パッティングも筆者の目には、安定して見えた。それでもマスターズも全米オープンも、取りこぼしは許されない。それを承知しているのが、当のミケルソンなのだ。
不思議なこと。ツアー全体で42度の優勝を重ねた、これほどのプロが、全米オープンだけに手が届かず。2位に終わった回数が、何と6度もあることだ。
それだけに、数ヶ月先に待ち受ける、連続の大一番。そこで息子ほど年齢の違う、スピース達とたった一つのパイを奪い合う。ミケルソンが目下高めている集中力。常人には考えが及ばない、高さであることは、間違いない。
(Feb.22.2016 )