25歳の賢さは、頼もしいばかりだ。昨夏ロリ・マキロイが、次のような話をしている。
「来年(2015年)マスターズ。練習ラウンドの相手を、確保しました」.
その練習相手が、何とアマチュアなのだ。
他の多くのトーナメントは、奇数の競技者が出た時、一人でラウンドする。それに対しマスターズは、マーカーを用意する。マーカーの役は競技者のスコアを記録。ラウンドの、ペース維持をサポートする。オーガスタ・ナショナルGCにとって、それが招待した競技者への礼儀なのだ。
昨年のマスターズ。第二ラウンド77を打ったマキロイは、ギリギリでの36ホール通過。51人目だった。3日目、他のトーナメントなら、朝一番にスタート。一人で18ホールを回るケース。そのマキロイをエスコートしたのが、アマチュアのジェフ・ノックス。そして、あろう事か、マーカーのノックス。彼のスコアが、71で回ったマキロイを、一打上回ったのだ。その時点で、2つのメジャー・タイトルを取っていた、プロフェッショナルを相手に。こんなことがあるのがゴルフ。
ただしここで、補足説明が必要になる。マーカーは自分のスコアを付けない。従ってノックスに「一打負けた話」は、マキロイから出たモノ。
だがそれは偶然でも何でもなかった。ノックスは、それ程の(遣い手)だったのだ。
使用したのは白マーク(メンバーがプレーする時の)とは言え2002年、オーガスタ・ナショナルGCで、何と61のスコアを記録している。他方2008、2009年にはジョージア・アマチュア選手権で連覇も果たした。加えてオーガスタ・ナショナルGCのディレクター。コースのことなら隅々まで知り尽くしている。
普通アマチュアに負ければ「顔も見たくない」。そう言う心境になって不思議はない。だがマキロイは違った。
一、二打のスコアの差は、ショット力以上に、コースマネジメントで、出る場合が少なくない。マスターズに招待される競技者は、年に一度一週間だけ。それに比べ、メンバーはコースの状態が可能な限り、ラウンド出来る。然もノックスは、オーガスタの町に在住している。
賢いマキロイは、そんなノックスの、エッセンスを貰う。それを今年のマスターズに活かそう。そう発想したのだ。
昨年四大競技の、後半の2つを連取。既に全米オープンのタイトルは掌中に収めている。4月のマスターズで、グリーンジャケットの袖に、手を通せれば四大タイトル総てに、手が届くことになる。25歳迄での四冠到達は、ニクラス、タイガーに続く、歴史的な快挙になる。
2011年のマスターズ。第一ラウンドから好発信。54ホール終了時で、優勝はほぼ掌中。そこまでのプレーをしていた。処が4打のリードを持ってスタートした、最終ラウンド80を叩く。トップ10さえ逃した。
マスターズに関しては、その時の悔しさがある。そして昨年マキロイがモタモタしている間に、年下のスピースが、2位タイに入っている。メジャータイトルへの、ドアを叩き始めた。マキロイとしても、うかうかしていられない。
何故ならメジャータイトルと言うパイは、年に四つしか用意されない、小さなモノからだ。
昨年のうちから決めていた、マキロイのこの作戦。4月12日の最終日が待たれる。
(Jan.26,2015)