日本では何処まで、報じられているか。ニクラス、ノーマン、タイガー達。デッカイ稼ぎをする米のプロ。彼らのステータスは、豪華な自家用ジェット機と、時価15億円以上はする豪邸。
アメリカン・ドリームは、一代で巨万の富を築くこと。昔のロックフェラーやカーネギー。現在の代表は、スポーツの億万長者。ただし彼らのピークは、早く来て早く去る。
ジャスティン・レナードは、全英オープンを含め、ツアー12勝を記録した一級のプロ。生まれも学んだ大学もテキサス。成功した彼はダラスの一等地に、豪邸を構えた。スペイン植民地時代の造り。それぞれ風呂付きのベッドルームが6部屋。
シャッターが降り、複数を駐車可能な、室内のガレージだけで4箇所。ジム、図書室。取材者を迎えるための、メディアルーム。さらに裏庭には、広大な練習グリーンまで設えた。
至れり尽くせりの豪華施設。だがそれが不用に、なる時が来た。と言うより、維持が重荷になったことだ。
ニクラスやノーマン。彼らはビジネスに、巧みに切り換えた。だからピーク時の生活を維持できる。だが其れができるのは、限られた一握りだけ。一流企業経営に参加していた旧知でも、年齢と共に、生活の規模を縮小する。彼らには一般的な選択なのだ。
その昔、千葉のジャンボ尾崎の家を、マスコミは、習志野のホワイトハウス、と命名した。尾﨑の若さと、当時の日本の経済からすると、それは堂々たるものだった。だがレナードのダラスの家は、それを更に上回る。
ダラスの不動産会社に拠ると「売値は千六百万ドル」。現在の為替で、十九億円以上。土地の安い米国。このクラスの物件を持つのは、プロゴルフ界でも、決して多くない。
いま未だ25歳のロリ・マキロイ。彼は昨年フロリダに、ヨットハーバー付きの家を購入した。その前ナイキと「10年間一億ドル」の、超大型契約にサインした。それが原資になったことは、言うまでもない。
一方もう一人の、北アイルランド人、マクドウエル。彼はオーランドの、レークノナ近くに、アイルランド風のパブを開店。トーナメントに出ない時は、其処に集まるゴルフ仲間と接することで、鋭気を養っている。
競技者としての、絶頂期を孔雀のように、派手に過ごすか。それともマクドウエルの選択肢に、目を向けるか。
レナードと初めて会ったのは、彼がテキサス大に入学した直後の、カレッジ競技。その時監督のジミー・クレイトンが「デューク、この新人はメジャータイトルに、手が届く素材だ」と誇らしげに紹介している。
クレイトンの読み通り、97年全英オープン優勝。それでも42歳のいま、生活の縮小が、必要になっている。それはマイナスの思考ではない。ツアープロの、人生としてのダイナミズム。これもアメリカン・ドリームの一部なのだ。
(March,16.2015)