出涸らしの茶どころか、タイガーいよいよ引退の危機

優勝パットを決め、大観客の声援を受ける、かつてのタイガー。この勇姿は、もう見られそうにない(PGA TOUR提供)

優勝パットを決め、大観客の声援を受ける、かつてのタイガー。この勇姿は、もう見られそうにない(PGA TOUR提供)

通年制を採用した、米ツアー。2015~16年は、10月15日。加州ナパでの、frys.com Openで開幕する。ナパは長いこと、NBC解説者ジョニー・ミラーのお膝元。ワインの産地としても有名だ。

時期的にツアー選手権と、プレジデンツCupが終わったばかり。米の主力、そして豪のデイ達にとっては、束の間の休息期間。従って顔触れが、大きく落ちることは避けられない。賞金も6百万ドル。それでもゴルフチャンネルがある。開催エリアでは、大きな盛り上がりを見せる。それが米ツアーの強み。

主力不在のfrys.com Openに、早々と出場を表明した、有名プロが2人いた。タイガーとマキロイ。

マキロイには然るべき目的がある。全英オープンから約二ヶ月、長期欠場。

「怪我した左足首は完治。ゴルフも百%コンペテティブな状態に戻った」。それでも試合感は鈍っているはず。その部分を一日も早く百%に戻す必要。もう一つ。これから11月にかけ、欧州ツアーは賞金王決定の、大一番に繋がる。従ってfrys.com Openとは言え、勝ち癖を取り戻しておくことは重要。

一方のタイガーは、そんな悠長な立場にない。先月のワインダムは、谷間のトーナメント。そこで這いつくばって10位。これは2013年バークレイズ(2位タイ)以来約2年ぶりのトップ10。これだけ悪ければ、各ランキングは止めどなく落ちる。

獲得賞金は、僅か44万8598ドルで162位。世界ランクは283位。FedExの順位は178位。ワインダムで優勝または単独2位。これでプレーオフ出場を掴める計算だった。だが今のタイガーに、そんな芸当、出来るはずない。

代わって飛び込んで来た話。それがタイガーが再度、腰にメスを入れるとの深刻情報。水曜日と言うから、週明け早々の23日。その後「2016年初め頃までは、トーナメント活動はできない」とのコメント。

最初にメスを入れたのが、昨年3月30日。マスターズの直前と言う緊急。そのため6月の全米オープンまで欠場した。医師の診断は「コンペテティブなゴルフが可能なのは百日後」。それとほぼ同じだろうから、今回も正月明けまでは、完全休養が必要になる。

そんなことで、早々とコミットメントしていた、frys.com Open出場も取り下げ。

それを受け、ジム・ニュージント編集長のGlobal Golf Postが「この事態が、タイガーの今後に、どう影響を及ぼすか?」と、問題提起している。

私は即座に返答した。「ジム、これはタイガーの終わりを、意味すると思う。と言うことは、ツアープロとして引退。以前から私が主張してきたように」。 「39歳は他の職業では若い。とは言えタイガーは、2歳の時からテレビで脚光を浴びてきた。競技者としての年齢。それはいま60歳過ぎ」。

全米オープンの前だから、6月上旬。この時も私は「誇りがあるなら、タイガー、キミは引退すべき」と書いている。不安は的中。全米オープンでまたしても80台を叩く。続く全英オープン、全米プロと共に36ホールでカットされた。

私の言う誇り。それはツアー79勝。そしてジョーンズ、ニクラスと並ぶ、過去百年のビッグ3。タイガーは歴史の中で捉えられる、その部分なのだ。

同じプロ競技者でも、野球、フットボールなどは、ある年数が来れば競技者は、引退と直面することになる。そんな中シニア・ツアーもあることで、ゴルフのプロは、踏ん切りを付けるのが困難。それでも80を打つゴルフは、観客に見せるモノではないはず。

一部米のマスコミが「タイガーは、2016年シーズン、一勝はする」との的外れ予想。嘲笑させられた。そのタイガー、出涸らしの茶を通り越し、いま引退と直面している。さて、どうする。

(Sep.21.2015)