タイガー・ウッズ。この秋短期間で二度腰に、メスを入れて迎えた40歳の誕生日(12月30日)。時を同じくして、そのタイガーを育てた有名コーチ、ルデイ・デュランが、初来日した。タイガーと言えば、とかくブッチ。ただしそれは高校生になった後のこと。タイガーの父アールに懇願され、4歳から10歳迄指導。ボビー・ジョーンズ、ジャック・ニクラスに並ぶ、過去百年の三強の一人。その基礎を創ったのが、他ならぬルディ。
目的は日本テレビでの、番組制作。急に話がまとまっての来日。年の瀬一週間滞在した。番組のタイトルは、まだ聞いていない。だが単純なレッスンではなく、スタッフにコメディアン、日本人プロ和足哲也(読みはわたり・てつや)たちを加えた、バリュエーションある番組。
ことにわたりは、188センチの長身。ルディの携帯に写っている写真を見る限り、悪くないルックス。年齢は32だが、ルディはこのわたりに、伸び代の大きさを実感。「私の理論を身に付ければ、短期間での成長が可能」と期待して居る。
日本人プロが、国際レベルで低迷している理由の一つ。それは最先端の理論を持つ、コーチがいないこと。言葉が通じないことで、その部分の情報が、海外から入らないため。その点ルディは、先頭を走る米の一級コーチ。プロだけでなく子供たちを育てる、ザ・ファーストティの指導者でもある。それより何よりツアー79勝タイガー。彼の基礎を創った名伯楽なのだ。
日本テレビの番組だけに留まらず、JGAや日本プロゴルフ協会が、三顧の礼を持って迎えても不思議でない指導者。何しろ5年後2020年には東京五輪。其処で日本は、メダルが欲しいのだから。
理論家ルディ。彼がタイガー育成で、成功した拘りは多数。その中でも特に「バーデイが狙える醍醐味」を、幼児の時から指導したこと。これ、他のスポーツに置き換えると、野球少年に、ホームランの面白さ。それを教えるのと同じこと。
ルディがタイガーと過ごしたのは、パー3の18ホール(パー54)。ロングビーチの街中。距離は136から85ヤード迄。中学生以上には各々パー3。だがルディの門下生に、なった時のタイガーは未だ4歳。目一杯ドライバーを叩いても百ヤード少々。これでは多くがパー4になる。その為ルディは18ホール中13ホールを、パー4にし、これを(Tigers’ Par)とした。
効果は覿面。タイガーは第二打で旗の根元を、そしてバーディパットを狙う。ゴルフのプレーで、最大の快感に、僅か4歳で目覚めさせることに成功した。その後全米アマ3連覇。米ツアー79勝。その都度派手なガッツポーズを演じたタイガー。その原点を辿ると、パー3コースでの、タイガーのパーに到達する。ルディの最高傑作だった。
他のスポーツ。サッカーは仏人トルシェで、2002年日韓開催好成績を残した。現在もナショナル・チーム監督は外国人。従ってゴルフでも、外国人コーチが、定期的に駐在し指導する。決して無理な発想ではない。ましてやルディはトッププロから、子供たちのザ・ファーストティまで。幅広く育成できる。それより何より、タイガーの師匠だ。
新しい2016年は、彼を見逃す手はない。
(Happy New Year.2016)