万余の消費者が、スポーツに、大きなカネを遣う。その目的は、熱狂に加わり、興奮を分かち合うこと。ゴルフで、それを最も楽しめるイベント。それが男女の、プロ欧米対抗戦。特に男子のライダーカップ。国旗を背にした名誉の戦い。勿論賞金は無し。このスケールの大きさ。それは日本に居ては、到底信じられないものだ。マキロイの欧州チームが、強さを見せ付けた昨秋も、テレビ桟敷は、釘付けになった。
隔年開催だから、次回は2016年〔会場は米ミネソタ州ヘイゼルチン・ナショナル)。来年秋とは、一年半先のこと。それにも拘わらず、その準備は、今週にも始まる。
ライダーカップの別名は、キャプテンのゲーム。両チーム出場は各々十二名。双方とも世界的な、トッププロが揃う。
ゴルフの競技は、昨今ストロークプレーの個人戦。そんな中、ライダーカップ(ソルハイムカップも同様)はチーム戦。ことに金土曜日の16マッチは、フォアサム、フォアボール。2人の個性あるプロを、組み合わせるわけだから、ここで力を発揮するのが、キャプテンの観察力と采配。それ故〔キャプテンのゲーム)と、尊称されることになる。
いまフェイスブックのトモダチのトニー・ジャクリン。彼は69年の全英オープン。そして翌70年の全米オープンを獲った。英国人として、後世に名を残している。それを更に不動のものにした実績。それがライダーカップの、キャプテンだった。
1980年代、彼は四大会連続して、欧州のキャプテンを務めた。相手はニクラス、トレビノ、フロイドたち蒼々たる顔触れ。その間の戦いを、2勝1分け1敗としたジャクリン。これで彼の評価は、不動のものになった。ライダーカップとは、それ程キャプテンの度量と読みが、問われるゲームなのだ。
そのキャプテンを、欧州は今週中にも選考。発表する準備をしている。理由は言わずもがな。これから先、一年半の歳月を要し、前景気を煽ること。その時キャプテンは、より大きな看板になる。
今回の候補者は2人。昨年50歳に到達。チャンピオンズツアーで、荒稼ぎしている、スペインのアンヘル・ヒメネス。もう一人は2011年の全英オープン覇者、46歳ダレン・クラーク。共通点は2人とも葉巻好き。選手としての、ライダーカップ出場も、ともに多く、甲乙付けがたい。
一つ差異があるとしたら、欧州チームのエース、マキロイとの距離。これに関しては、クラークが、圧倒的に近い。
どちらが選ばれるにしろ、キャプテンになれば、欧州チームの顔として、この先一年半、各種の催しで、引っ張りだこになる。そこでのキャプテンの一言半句が、2016年ライダーカップの、成功のカギを握ることになる。男冥利に尽きる役割だ。
私はことある事に強調している。観客の減少が続く日本のゴルフ。だからこそ、一年半前から動き出す、ライダーカップの、巧みなビジネスを、参考にすべきだと。
私もここ暫く、ライダーカップの取材をサボって来た。ヘイゼルチン・ナショナルの同じ街には、インターラッケンがある。1930年、ジョーンズのグランドスラム。その時の全米オープン開催コース。ここはヘッドプロ、ジョーク・オルソンからメンバーまで旧知が多く、何時でも歓迎してくれる。
折角ミネソタまで出掛けるのだから、周辺の一級コースをラウンドする。その上でライダーカップだけでなく、、秋の米北部のゴルフも楽しむ。その日程を組む。一年半を要し、私もそれを、準備することにする。
(Feb.16.2015)