21歳スピースが、ぶっちぎった4日間。その陰で85歳パーマー。彼がパー3コンテストの舞台から降りた。早朝にも拘わらず、万余の観客を集めた、木曜朝の始球式。これも今年が最後になるはず。一つの時代の終焉。時代を築いた男への惜別。だが心配は無用。パーマーを後継する、若者は続いている。
Masters Weeksが、開幕する前日だから、5日のこと。全米各地の予選を勝ち抜いた子供達が、オーガスタ・ナショナルGCに、集まっていた。それがこの2枚の写真。昨年スタートした「ドライブ、チップ、パット」競技。この決勝戦。オーガスタ・ナショナルばかりか、USGA、PGAオブ・アメリカが協力しての、普及を目的とした仕掛け。
それより前に、大きな実績を創ったThe First Tee Program。この続編と思えばよい。それが「ドライブ、チップ、パット」。遠くへボールを飛ばし、狙ったところへ寄せる。そしてカップに沈める。ゴルフと言うより、子供の遊びの原点。
然も新しい試みと、多くが感心させられる。ところが然に非ず。子供を中心とした初心者。彼らをゴルフへ引っ張り出す上で、この程度のこと、ずっと昔から、行われていたのだ。
私の記事に、繰り返し登場するルディ・デュラン。タイガーを4歳から10歳まで、指導した教え上手。彼は加州中部で、2つのゴルフ場を所有運営。其処を中心に実施している指導。それがドライブ、チップ、パットそのものなのだ。ただし順序は逆になる。
ルディは近所の子供を、まず練習グリーンへ集める。其処でボールとパターを与え、3メートルの距離を、2パットで収める遊びをさせる。子供たちは、直ぐに憶える。それが出来た子には、名刺サイズの、会員証を渡す。全員が貰える。
続いてグリーンの外からチップし、それを1パットで収める遊び。これも簡単にクリアする。その子には異なるカードを渡す。色がオレンジに変わり、このカードの所有者は、練習場のボールが、無料になるなど、上達への環境が、徐々に整えられる。
そのカードの色が、緑に変わる頃。子供達はコースへ出るのが、待ちきれなくなる。
その一つの形が、マスターズ直前のオーガスタで行われた「ドライブ、チップ、パット」のファイナルだった。これはいまや、全米規模で実施されている。
別の2枚の写真。これはダービーで有名な、ケンタッキーの光景。草は芝でなく牧草。奧にサッカーか、アメラグのゴールが見える。寒い冬が去れば、子供達は放って於いても屋外へ飛び出す。その中に棒切れで、小さなバールを打つ遊びが加わる。取り立ててゴルフの格好をさせない周囲。それが何とも、心を豊かにする。
この写真の送り主は、結婚前Myra Van Hoosでツアー活動。その後母校ケンタッキー大監督として、多くの後進を育ててきた。
マスターズが終われば、春は北米大陸全域に広がる。其処ではケンタッキーダービー、インディ500。そしてニクラス主催の、メモリアル・トーナメント等、スポーツイベントが続く。
パーマーは去ったが、ゴルフ界の後継人材は、この様な形で、次々育っている。ルディやMyraの地道な指導。そして小中学生に、オーガスタ・ナショナルを開放する動き迄。日本が本気で、見習うべき部分だ。
(April.13.2015)