全米学生まで、テレビ放送される、日本との違い

これは2012年、地区予選を優勝で突破した時の写真。左がDirector of GolfのPuggy Blackmon。この様なスコアボードの前で、競技者も観戦者も、一喜一憂する。今週のNCAA全国大会のスコアボードは、この十倍以上大きい

これは2012年、地区予選を優勝で突破した時の写真。左がDirector of GolfのPuggy Blackmon。この様なスコアボードの前で、競技者も観戦者も、一喜一憂する。今週のNCAA全国大会のスコアボードは、この十倍以上大きい

四月のマスターズで、一躍歴史を作ったジョーダン・スピース。未だ21歳。数年前まで彼は、テキサス大の学生だった。タイガーの稼ぎに影響され、最近は中退し、プロ転向する数が増えている。

ただしタイガーやジョーダンは例外。多くは四年間大学で学び、その後でQSに挑む。奨学金もある。アマチュアのタイトルを,積み重ねることも、プロ転向後の将来に,役立つからだ。

そんな学生にとって、年間最大の競技。それが通称NCAAの全米学生選手権。これは「明日のスターの宝庫」。遠く1980年。はじめて取材した時。この時の主役はカプルス、オメーラ、ハル・サットン。ジョン・クック、86年の全米プロを獲ったトウエイたち。まさにきら星だった。

その全米学生が始まる。場所はフロリダ州コンセッションGC。今週が女子。それに続き、来週男子が行われる。優勝争いへの興味。それ以上のもの。それは〔日本では相手にされない)学生の競技が、テレビで放送されることだ。

日に焼けた脚に、白い短パンがよく似合う

日に焼けた脚に、白い短パンがよく似合う

大学が大都市に集中している日本と違い、米の大学は全米50州に分散している。従ってその分、地域対抗意識が強く、それが大学スポーツを、収益的にも巨大なビジネスに押し上げている。その中でもフットボールとバスケ。この二つはプロに匹敵する人気。

ゴルフは競技の形態からして、そこ迄の熱狂は呼べない。とは言え各大学の、中心的な部活。それをゴルフチャンネルが、しっかり放送する。それがプロツアー人気の、下支えになっているのだ。勿論NCAAだけではない。全米アマチュア選手権。これは昨年まではNBC。今年からはFOXが放送する。

翻って日本の、アマチュアゴルフとテレビの関係。むかし石川遼が15歳だった時、一度だけフジテレビが放送した。ただしそれはゴルフと言うより、アイドル追っ掛け番組。それでも日本ゴルフ協会としては、これを気にアマチュアのゴルフ放送に、乗り出すべきだったが、そんな高尚な考えは、持ち合わせていなかった。

それ以前の問題。日本では大学のトーナメントに、応援さえ許可しない。数住人の部員。その中で選手になれるのは一握。だが練習は一年間。全員で続ける。その自分達の代表を、コースで応援することさえ「NO」。それが遅れた日本の実情なのだ。

日本の早稲田に似た色。これがサウスカロライナ大のスクールカラー。各校地域の歴史に関連する色を、巧みに使用している

日本の早稲田に似た色。これがサウスカロライナ大のスクールカラー。 各校地域の歴史に関連する色を、巧みに使用している

それより何より日本の大学ゴルフ。昨年はスコアの改ざんまで起こっている。「そんなことも応援が入ることで,必然的に防げます」と大学の監督。テレビ放送されれば、それは不正防止にも、役立つことになる。

全米で1万7千コース。プロ(PGAオブAmerica)の数、約2万5千人。とは言えゴルフ産業を支えるのは,カネを払って遊ぶアマチュアの大衆。全米アマチュアと共にNCAAは、その頂点。それをテレビで観戦できたら楽しい。

昔のニクラスから、いまのスピースの活躍まで。この柔軟な発想があればこそなのだ。
(May.18.2015)