WGCマッチプレーの進化に拍手喝采

今年の海外ツアーを牽引する若い2人。マキロイ〔右)とスピース。「彼らはパーマー、ニクラスの宿敵関係になれるか?」米Global Golf Postの期待は大きく膨らむ

今年の海外ツアーを牽引する若い2人。マキロイ〔右)とスピース。「彼らはパーマー、ニクラスの宿敵関係になれるか?」米Global Golf Postの期待は大きく膨らむ

「マッチプレーは、テレビ時代の現代には不向き」。これが定説だった。

かつて日本でも、プロマッチプレー選手権が、実施されていた。だが最終日は、決勝と3位決定戦の2試合だけ。一戦ごとの勝ち上がりだから、テレビ桟敷が期待する、顔触れがなかなか揃わない。そんなことで、何時しか消えた。

1999年に始まった、WGCのマッチプレー選手権。2003、2004年に、タイガーが連覇する迄は、ジェフ・マガートや、ケビン・サザーランド達。スターとは言えない、優勝者が続いた。

それ迄のアクセンチュアから、キャデラックに代わった今回。競技のフォーマットを、大きく変えた。かつて64人の勝ち上がり戦は、一つ落とせば、その競技者は、会場を後にした。

それに対し、今回からは64人全員が、3試合の予選ラウンドをする。そのため水曜日から熱狂。ブラッドレーとヒメネスの口論。それがテレビ画面に捉えられる。そんなハプニングも、ファンの興味を高めた。

その結果で、上位16人が、勝ち上がり戦(ノックアウト戦)に突入。その初っ端で、松山英樹が世界ランク一位のマキロイと激突したことで、日本でも特に注目された。

ただし此処で特筆したいこと。それは松山が、マキロイに子供扱いされた結果ではない。フォーマットを此処まで進化させ、ショーアップした、米ツアーの能力。それに対し拍手を、送りたいことだ。

タイガー、ミケルソンガ欠場した今回、金看板はマキロイとスピース。後者は英国のベテラン、ウエストウッドに敗れ決勝進出を逃した。一方で松山を下したマキロイ。彼は準々決勝でも、追い上げて延長戦に持ち込む粘り。大本命の活躍は、観客そしてテレビ桟敷の関心を、最終日まで繋いだ。

これがフォーマット変更の、最大の進化部分。ショーとしてのスポーツは、客に見て貰ってこそのもの。さらに幾つかの、客観的要素が加わった。会場のハーディングパークは、サンフランシスコ。金門橋からも近い。英国のローズ達は、ケーブルカーに乗り、名所フィッシャーマンズワーフを観光。

ジョーダンを破りながらも、最終日まで残れなかったウエストウッド。彼には更に素敵なハプニングが待っていた。シスコからベガスはひとっ飛び。そこで日曜日パッキャオvsメイウエザーのタイトルマッチ。この切符を持っていたマキロイ。だが時間的に観戦不可能に。そこで代わってベガスへ飛んだのがウエストウッド。当然のことながら、チャーター機。

マキロイは優勝杯を。英国の先輩は、ベガスの興奮を。それぞれに最大限、満喫した。

日本とは比較しようないこと。とは言え一つのイベントに、他のショーが絡む。それで話題性が、二倍にも三倍にもなる。実に巧みなフォーマットの進化だった。人間の知恵とは、それにしても大したものである。
(May 11.2015)