ビル・ハフマンは、アリゾナのゴルフ界、マスコミを牛耳る、長い間の知己。自信家だけに、言葉の端々に強い表現が顔を出す。
金曜日の遣り取り。「盲目的な愛国者ではない。それでもスピースが勝てば、米のゴルフ界は、巨大な熱狂に包まれる。是非とも勝って欲しい」。
さらに付け加えた。
「世界ランクがどうであれ、マスターズに続くメジャー連勝。それが実現したら、現時点でスピースは、疑うことなく世界のナンバーワンだ」。
最終72ホール目のバーディで、ハフマンの(盲目的愛国者の期待)に応えたスピース。彼はまだ21歳。地元ダラスの競技、バイロン・ネルソンに高校生で出場。二年続けて十位前後に留まる活躍を見せたのは、ほんの数年前のこと。その若者が、メジャーを連取し、いま奨学金を出す側に回ると言う。何と夢のある話か。
4月のマスターズに続き、全米オープンでも優勝。数十年ぶりで、グランドスラムが話題になる。だが其れでも世界ランクの一位はマキロイ。スピースは2位。ハフマンが強調するのはこの部分。世界ランクに関係なく、この時点の世界最強は、スピースとの持論。
何れにしろ大きな夢。それを7月の全英まで繋いだスピース。その21歳が驚くことに、奨学金を出す側に回って居る。そんな話が北部テキサスPGAから、このほど届いた。
目下ダントツの賞金ランク。
賞金だけでなく、スポンサー企業との契約金の額も膨大。それらはジョーダン・スピース家族基金として運用されている。
その一部を奨学金として活用する。その話だ。今回の受賞者は2人。ただしこれはスピース家族基金が、直接動くことではない。
米は日本の25倍の大きさ。従ってビジネスやスポーツ組織も、州単位での活動が目立つ。中でもテキサスは広大。そのため南部と北部で別々の行動をする。
ジョーダンが住むのは、北部のダラス。そこでゴルフを中心に、活動する組織が北部テキサスPGA。その中の一つのセクション、ジュニアゴルフ基金が代行し、受賞者の選考から、表彰式までを取り仕切る。
それにしても成功者とは言え、未だ21歳の若者。彼が奨学金を出す側に立つ。この柔軟性。カネが活かされて、遣われていることが判る。
もちろん宗教的な伝統もあるはず。寄付行為に対する、減税など社会システムの違い。これも大きいに違いない。何れにしろ2015年の受賞者は、男女の若者2人。「選考の基準は文武両道。学ぶ身として、オールラウンドの能力。それを評価した」と、北部テキサスPGAの担当者は話している。
この中から、第二のスピースが誕生する。期待は大きい。
(June.22.2015)