グレッグ・ノーマンメダル。聞き慣れない名前。12月1日、豪州で初の受賞者発表と、授与式が行われる。
20世紀初頭からの、過ぎ去った百年で、最強ゴルファーはニクラス。彼以上の才能を秘めたプロを探すと、それは疑うことなく豪州人ノーマンだった。ただし攻めが淡泊と言うか、大詰めで相手にツキを与える。或る種エラーが多数あった。それでなければ、四大タイトルを20個は獲ったはず。私は今でも、そう信じている。
人口僅か2千3百万の豪州。日本の六分の一。それでも五輪を中心にスポーツは強国。西暦2000年のシドニー五輪。この招致にはノーマンが大きく貢献。開会式、彼はロイヤルボックスで、各国選手団に拍手を送っていた。押しも押されぬ、豪州を代表する顔。
ゴルフ界には、全英5度優勝の、ピーター・トムソンもいる。だが歴史を振り返り、今後への影響を考慮した時、ノーマンの存在が圧倒的だった。
メダルの目的は「男女を通じ、世界の舞台で活躍した豪州人プロを、毎年選考し表彰。豪州のゴルフを、さらに発展させること」。そのための晩餐会が来週水曜日。全豪プロ選手権会場の、ロイヤルパインズで開催。その場で発表と表彰が行われる。自分の名前が付いたノーマンは「これに勝る名誉はない」と紅潮している。
選考委員は少人数だが、ベーカーフィンチ、グラハム・マーシュ。女子プロのジェーン・クラフター達、豪州ゴルフ史を飾ってきた重鎮が揃う。
南半球の豪州は、これからが夏。ゴルフシーズンも本番。先週からマスターズ、オープンそしてプロ選手権。豪州の3大競技が続いている。そのノーマンメダル。数年前までなら、本命は疑うことなくスコットだった。その主役が、ジェイソン・デイに交代した。
彼は四大競技中心の夏の間、コンスタントな成績を残す。そしてシーズン最後のメジャー、全米プロ選手権で、20アンダーのビッグスコアで優勝。これが効きマキロイ、スピースを押しのけ、世界ランク一位にも躍り出た。
デイは白人の父親を、早く亡くしている。女手一つで育ててくれたのは、比国出身の母親。母子家庭では、それなりの苦労もあったはず。そんな環境で、昨年比国を巨大台風が襲った。その時イの一番に義援金活動を開始。それは継続的に行われている。
処で世界には、多くの勲章がある。日本を代表するのは、差し詰め文化勲章か。他に目を移せば、米の大統領金メダル、議会金メダルが有名。受賞理由は国の発展に、大きく寄与した功績。その中には、文化やスポーツも含まれている。ゴルフ界の歴代受賞者は、バイロン・ネルソンに続き、パーマーとニクラスがいる。英国なら女王陛下から贈られる、ナイトの称号に値するはずだ。
敢えてもう一つ付け加えると、マコーマック・メダルがある。これは男女のアマチュア世界一位が対象になる。ノーマン・メダルは、それらに匹敵する高い目的と、格調高さがある。
誰が受賞するにせよ、大変な名誉が付き、励みになる。この様なメダルが、日本で具現化する。果たして何年先になるのだろうか。
(Nov.23.2015)