他人のことでも、成功物語は素晴らしい。日本ツアー育ちの米人が2人。さらに個人的な旧知が、狭き門を突破。年明け早々、チャンピオンズ・ツアーに、Full Exemptionで登場する。
同ツアーは、人生二度目の金鉱。かつては「一丁上がり」だった50歳と言う年齢で、もう一度大きな稼ぎと、名誉を得る機会がぶら下がっている。
ツアープロには、二つのタイプがある。若い時強く、さらに50歳後も多数の優勝を残す。リー・トレビノやへール・アーウインのケース。一方レギュラーツアーでは、芽が出なかった男が、新しい金脈を見事掘り当てる。これも一つの醍醐味、と言える。
チャンピオンズツアーのQTは、毎年クリスマス前。何故なら新しいシーズン。それが暦が変わると同時に、始まるからだ。今年は日本から、尾﨑直道たちもトライした。そんな中、第一位合格メダリストの栄誉に浴したのがブラント・ジョーブ。
80年代、トッド・ハミルトンとともに、約10年日本ツアーに滞在。その間に日本プロ選手権など、二桁に届く優勝を成し遂げた成功者。帰米後優勝はなかったが、メモリアルの2位などで、実力を示した。そして50歳に到達して今回のQT。周囲はツアー優勝経験者ばかりか、メジャーの勝者も居た。
そんな強豪との競り合い。最終日の最終4 ホールで2つのバーディ。2016年シーズン、全戦出場できる資格。それに副賞の3万ドルも掌中に収めた。
ジョーブに1打遅れた2位タイの、ウイリー・ウッド。彼も首位同様、全戦に出場できる。大きな金の扉を開けたことになる。私事だがこのウイリーと、彼がオクラホマ州立大の学生だった80年。一緒にゴルフをしている。その時のフォアサムは、他にボブ・トウエイとジェフ・マクミラン。
それから2年後。ウイリーは全米オープンに駒を進める。ワトソンが優勝した、あのペブルビーチで。海外取材駆け出しの私は、驚かされる。キャデイを雇わず、ウイリーはセルフで競技をしたのだ。
「学生の競技は、普段からセルフ。この方がプレーし易いので」と、こともなげに話してくれた。このウイリー、小柄だし必ずしもビッグヒッターではない。その反面ボギーを、最小限に抑える、高いディフェンス力を持つ。ちなみにQTの4日間、ボギーは僅か4箇。レギュラーに比べ、チャンピオンズ・ツアーは距離が短い。それだけにウイリーへの期待は大きくなる。
ジョーブと同時期、日本ツアーで活躍したハミルトン。彼はQTは不要。何故なら全英オープンを含め、帰米後複数の優勝を残して居るからだ。従ってこの先も、每季QTを心配せず、好きなだけ、トーナメントに活動ができる。
ハミルトンが、日本で活躍したのは、ゴジラ松井がヤンキースへ移籍した頃。「僕だってその逆。日本で好成績を残して居る米国人」との自負。そのため彼はボールに(TODDZILLA)と刻印した。彼の名前ToddとGodzllaの合成語。ゴジラ松井の向こうを張って。微笑ましかった。
かつてのヤンチャ坊主が、シニアで年明け戻ってくる。
(Dec.14.2015)