英語だと「Let the comparisons begin」と言うことになる。
2015年、マスターズと全米オープンを含め、年間5勝した、ジョーダン・スピース。彼が記録した獲得賞金は、5300万ドル。世界ランクも一位。更に広告塔としての評価も、このところ急上昇。年開けて16年の開幕戦。ここでも唯一人30アンダーに到達。2位に8打差を付けて、ぶっ千切った。それを受けて漏れ伝わった情報。それに拠るとコカコーラが、桁違いの契約を、複数年結んだと言う。
スピースのエージェントは、かつて老舗IMGで腕を磨いたジェイ・ダンツイ。「金額は言えないが、大きな額です」と話している。
過去20年。カネにまつわる話は、タイガーの専売特許だった。彼の場合ゴルフをしない大衆にも、アピールする付加価値があった。あらゆるスポーツで、史上最年少の、1ビリオンBillionドル到達を成し遂げたのも、他ならぬ彼だった。そのタイガーとの比較。それを始める機運が高まった。そう言うのだ。
タイガーと言えば、米ツアーだけでも79回の優勝。其処には14個の四大タイトルが含まれている。前者はサム・スニードに次ぐ2位。後者はニクラスに続く2位。更に付け加えるなら、タイガーは過去百年の三強の一人。他はボビー・ジョーンズとニクラス。
そのレジェンドと比較する。弱冠22歳が、そこ迄の評価を高めた。然し決して無理な、急ぎ過ぎとは思わない。
この若さで、スピースは大化けを、繰り返し演じている。最初は2014年11月。初出場の豪州オープン。この時私は「松山との差を開く、全豪優勝」との記事を書いている。ここで最終日ボギー無しの8バーディ。2位に6打差。「自己最高のプレーが、最終日に出せた」。完全にゾーンに入れたことを喜んでいた。
その足で帰米し、出場したのは、タイガーがホストのワールドチャレンジ。ここでは通算26アンダー。2位のステンソンに2桁の大差。その3週前は、日本の宮崎(ダンロップフェニックス)に出場。松山の後塵を拝し、1打差2位に終わったが、その後が大違いだった。広大な太平洋を一回りした3週間で、この若者は、脱皮を二度繰り返したことになる。それは松山の手が、遠く届かない処に迄、先行したと断言できる。
そして2015年のマスターズ、全米オープンでの連続優勝。この時のマスターズも、記録ずくめの優勝だった。
更に2016年初端のカパルアでも、ただ一人30アンダーに到達。2位に8打差の、強さを見せ付けた。現在のライバル達とは異次元の世界。ここ迄来れば、タイガーとの比較が、早過ぎることはない。
通算7勝は、まだタイガーの、足許にも及ばない。だが40歳の誕生日を前に、檜舞台から降りたタイガー。彼に比べ、スピースは身体を、痛めている話も聞いていない。プロのアスリートにとって、これは大きなアドバンテージになる。
米のマスコミが、タイガーとの比較を始めた。これはこの先、間違いなく見逃せないテーマだ。
(Jan.18.2016)