百ヤード迄。余分な処は、芝を張らない合理性と節約。日本でも是非…

フェニックス・オープン(英語の名称はWaste Management Phoenix Open)の会場でも、この様に、各種のサボテンが目立った。因みにここはwaste bunkerだから、ソールしても構わない(Gary Cruzの写真)

フェニックス・オープン(英語の名称はWaste Management Phoenix Open)の会場でも、この様に、各種のサボテンが目立った。因みにここはwaste bunkerだから、ソールしても構わない(Gary Cruzの写真)

日本のテレビ桟敷で、何人が気が付いたか。松山が優勝したフェニックス。2つの意味で英語のWasteが付いていた。一つは冠スポンサーが廃棄物処理企業。もう一つ。フェアウエイを外れたボールは、自然の荒れ地に転がる。そこは元来砂漠だった未開地。それを現地ではwaste bunkerと呼ぶ。遊休地である。

アリゾナのゴルフは、競技でない時、15本のクラブが許される。それは通称ロックアイアン。ジャンクショップで1、2ドルの代物。芝地を外れたらこのクラブで脱出する。傷つくことを、心配しないで済むし、バンカーではないから、ここではソールしても構わない。ところ変われば、ゴルフも変わるモノ。

アリゾナのゴルフが注目されたのは、80年代に入ってから。ニクラス設計のデザートハイランドなど。多種サボテン生い茂るコース。そこでパーマー、ニクラス、プレーヤーそしてワトソンのテレビマッチ。寒さが本格化する感謝祭の週。避寒地から北米全域にゴルフを、映像で送る。それで受けた。ただし驚きは,他にもあった。それはコースそのものだった。

「水の使用量を、極力抑える」「元来あった樹木草を、可能な限り元の状態で残す」。

その為、まずティグラウンドから百ヤード以上、芝を植えない。ニクラス曰く。「百ヤード飛ばないゴルファーはいまい」。そこからグリーン迄は、普通のコースと同じ状態。私も何度もラウンドしたが、不便さも違和感もない。そこで直感したこと。それが日本オープン開催コースのラフだった。

何十年になるか、日本オープンのコースと言えば、ラフを目一杯延ばす。開催は秋10月。それ迄一夏要して延ばす。

従ってその半年、一般ゴルファーは、深いラフと格闘。球探しに苦労する。JGAはそれを自慢げに眺めていた。何と言う時代遅れ。コースの難度を上げる、その為にはグリーン周辺の斜面をつるつるにする。これは豪州のスタイル。深いラフの最悪は、2011年の日本女子オープンだった。名古屋の和合。決して長くないコース。ここで優勝スコアが二桁のオーバーパーになった。女子とは言え、日本オープンに駒を進める程の腕が、時に3度打っても、ラフに留まっていた。

「これはゴルフに非ず。単なる虐め」と、多くがテレビのチャンネルを替えた程。ここでニクラスの発想が、生きることになる。百五十ヤード前後までは、ラフを延ばそうがプロには無関係、一方でその間のラフが並みなら、日本オープンまでの半年、アマチュアゴルファーは、通常のゴルフを楽しめる。

2009年の日本オープン(武蔵)。メディアデイ、この時うちのスタッフの独身女性。毎ホール球探し、時には二桁。処がパー3はワンオンがあり、パーも取れた。この時私は「日本オープン即長いラフ」の時代遅れを実感した。そして長いこと体験してきた、アリゾナのウエストバンカーを、ここでも脳裏に重い浮かべた。これがその絵。アリゾナのアナウンサー、ゲイリー・クルツが撮影したモノ。

今年の日本オープンは10月埼玉。延ばすにしても、未だ先のこと。延ばせば延ばすだけ、管理費も嵩む。.JGAはこの際、頭をしっかり切り換えるべきだ。それ越前の三方得に、なるのだから。

(Feb.15.2016)