優勝マキロイ25歳。五輪連続金メダルの、確率上げる

スコットとローズは34歳。バッバ・ワトソン36歳。タイガー38歳。ミケルソン43歳etc。

マキロイ25歳。スピース20歳。日本の松山英樹22歳。

 先週月曜14日。全英オープン会場ホイレークで行われた、2016年リオ五輪の記者発表。右から2人目が、ドウソン会長。 その左がボウトウ副会長。世界中の記者が集まる場所だけに、多くの質問が飛んだ(R&A提供)

先週月曜14日。全英オープン会場ホイレークで行われた、2016年リオ五輪の記者発表。右から2人目が、ドウソン会長。
その左がボウトウ副会長。世界中の記者が集まる場所だけに、多くの質問が飛んだ(R&A提供)

先週の月曜14日。全英オープンの会場、ホイレークでIGF(国際ゴルフ連盟)の、記者発表が行われている。

主席者は、ピーター・ドウソン会長(R&A専務理事)、副会長のタイ・ボウトウは、米ツアーのナンバー2。2008年秋の、コペンハーゲンIOC総会。それ以前からゴルフを、112年ぶり五輪種目に復帰させる。その根回しに、東奔西走して来た2人。この日の発表には、IGFのスカンロン専務理事も加わった。

発表の中身は、既に内定していたことの確認作業。

出場は男女とも、それぞれ60人。4日間72ホールのストローク競技で、金、銀、銅メダルを決定する。

選考のベースは五輪ランキング。実質的には、現行の世界ランキング(WR)と重複する。その上でリオ五輪直前の、2016年7月11日。これが最終ランキング。出場は男女とも最大一カ国2人。だが、この時点でトップ15位以内に、多くのランク者を持つ国は、最大4人迄の、出場が可能になる。

開催国ブラジルは、ランクに関係なく、男女ともそれぞれ一人。また五つの輪が示す五大陸。アフリカ、アメリカ、アジア、欧州、オセアニア。ここから一人の有資格者も出せない大陸。それがあった場合は、五輪憲章に従い、一大陸最低一人の特別出場は保証される。

さらにドウソン会長が、強調したこと。それは「この先2年の間に、国籍を変更すること」に対する警告だった。五輪種目への復帰が決定した頃。女子プロの最強は、台湾のヤニ・ツェンだった。これは香港のメディアが報じたニュース。北京政府は彼女に、国籍変更を条件に、分厚い札束を、提示している。従ってIGFとしては、当然の予防線になる。

さて骨子が決まれば、次の楽しみは、出場者の顔触れ。そしてメダル候補の予想だ。リオ五輪は二年後(8月5日から21日迄)。主競技場はエスタジオ・ド・マラカナン。終わったばかりの、サッカーW杯。その熱狂を、世界に発信したスタジアム。一方のゴルフ場は、昨年5月着工した新設コース。受注したのは、米の女子プロ、エミー・オルコットを中心とした、米の設計グループ。

従ってコースは、まだ全貌を現していない。だが出場する顔触れは、おおよそ予想できる。

2年後である。ミケルソンは、チャンピオンズツアーが、視野に入る45歳。タイガーにしても40歳。2人合わせ、ツアー勝利数は121。そのうち合計メジャータイトルは19箇。それを積み重ねて来た、過去四半世紀の金看板二枚。だがこの2人が代表に選ばれる確率は、非常に低い。彼らにとっては、五輪復帰の時が遅すぎた。同じように、飛ばし屋ワトソンも38歳。さらに世界ランク一位のスコット。そして同3位のローズとも、36歳になる。一般的に競技者として、峠を越す微妙な年齢に達する。

それに比べ、全英オープン優勝のマキロイ。今回のゴルフ五輪復帰は、彼のために、用意された筋書き。そう思わせる程のタイミング。

2年後は27歳。6年後の東京は31歳。競技者としては、脂がのりきる年齢。不安材料は見当たらない。

尤も2年前ロンドン五輪後。マキロイは、五輪出場に消極的。そんな話をしていた。理由は母国の複雑な立場。北アイルランドは英国の一部。とは言え民族としては、アイルランド人。その辺りの背景に、言及したもの。ただし間近になり、五輪熱が高まれば、本人も当然その気になるはず。そして31歳で迎える東京。そんなことで、マキロイには二大会連続の、金メダル。その可能性が頗る高い。

リオ、そして東京とも28競技。この2大会の結果。そしてその先の開催都市に拠っては、ゴルフが五輪から外されることも、当然考えられる。そうなった時、2024年以降、ゴルフが28種目から消える可能性。そうすると、ゴルフの金メダリストは、マキロイ以降、暫くは途絶えることになる、と言う論法。それにしても27歳と31歳で、五輪を迎える幸運。タイガーもミケルソンも、羨ましいに違いない。

一方の女子。現在世界ランク一位のステイシー・ルイスは29歳。リオは何とか持ち堪えるかも知れない。だが東京は、非常に困難なはず。

代わって、年齢的に有利なのが、ミッシェル・ウイ24歳。トンプソン19歳。そしてニュージーランド国籍の韓国系、リディア・コー17歳。ウイに関しては、既に昨年末韓国から、米に国籍を移している。従って彼女の場合、国籍変更の警告には、無関係になる。

ゴルフのメジャーは、一年に4つ開催される。チャンスは、その分だけ多くなる。それに比べ、サッカーW杯同様、五輪も4年に一度の開催。競技者としての、適齢期に当たるか外れるか。それで個人の運命が、大きく左右される。

二年後の五輪要項が、発表されたその同じ週に、全英オープンで優勝したマキロイ。来年のマスターズを獲れば、生涯グランドスラムが達成される。そして2016年に迎えるリオ五輪。開催前から絶大な、アドバンテージを取った25歳。彼の五輪金メダルへの、期待は膨らむ一方だ。

(July 22.2014)