スピース四冠への行進は、一瞬の輝き

絶対の本命視されているスピース。オールドコースでの木曜日はジョンソン、松山との組み合わせだ(PGA TOUR.com提供)

絶対の本命視されているスピース。オールドコースでの木曜日はジョンソン、松山との組み合わせだ(PGA TOUR.com提供)

Club of five members。これは世界で最も小さく、限られた人数のクラブ。構成しているのはジーン・サラゼン、ベン・ホーガン、ゲイリー・プレーヤー、ジャック・ニクラス。そしてタイガー・ウッズ。

全米オープンの2位が6度。そのうち何度も、最少ストロークに迫りながら勝てないミケルソン。この夏彼は45歳の、誕生日を通過。彼の目の前で、ナショナルオープン選手権の、トロフィーを抱いたのは、21歳のジョーダン・スピースだった。

年間四冠と言えば、1930年のボビー・ジョーンズ。その後私たちが意識したグランドスラム。その快進撃はパーマーだった。

1960年パーマーは、マスターズ、全米オープンを連覇して、セントアンドルーズに乗り込んでいる。然しネーグルに1打の遅れを取った。時差の悔しさというか。パーマーは翌年から、全英オープンを連覇している。

一年でも勝利の時間がズレていれば、その後の全米プロでの、グランドスラム達成が観られたモノを。尤もパーマーは、その全米プロだけが獲れず、生涯グランドスラム。そしてClub of five members入りも果たせなかった。

1960年全米オープンで、パーマーに逆転されたのは、当時大学生のニクラス。その後プロ転向し、1972年マスターズと全米オープン連覇。その勢いで大西洋を渡る。舞台はミュアフィールド。だが当時絶頂だったトレビノが立ちはだかった。1打差でグランドスラムへの行進は、阻止された。

説明がややこしくなるが、その前71年ニクラスは、全米プロで優勝している。そうなると同一年ではないが、72年のミュアフィールドで、四冠達成。その可能性があった。

四大競技で、優勝を争う様な連中は、競技者としてピークにある時。この頃のリー・トレビノも強かった。

彼のメジャータイトルは計6個。マスターズ以外は、それぞれ2勝している。然もそのうちの4度は、ニクラスと競り合い、ニクラスを蹴落としての優勝。そんな過去を見ていると、今週のスピース。意外な伏兵にMarching into historyを阻まれる。そんな可能性を読んでしまう。

その一人は、かつてのWR一位、リー・ウエストウッド。彼に関しては、スピースの対抗馬、と言うより、私個人として見てみたい優勝者。それに対し英国の読者からは、共鳴の声が結構届いている。

42歳。全英オープンは2009、2013年3位。2010年には2位。特に2009年の時は、60歳を目前にしたトム・ワトソンが、プレーオフに残った時。英国の看板を、長いこと背負ってきたプロ。その彼に一度は、クラレットジャグを抱かせたい。そう願うのは、私一人ではないのだ。

それでも、米英記者仲間の予想は、ほぼ百%がスピース。21歳に重圧はないのか。何れにしろ、年間四冠に向かって進撃できる。これは各々の人生にとって、一瞬の出来事でしかない。勝負の筋書きは、誰も書けない。

(July.15.2015)