私は時に、一日に2つのコースをラウンドして来た。米国ならファイアストンで朝7時スタート。11時終了と同時に、チーズバーガーと清涼飲料水を手に2時間のドライブ。午後はコロンバスの、ミュアフィールド・ビレッジGC。
英国ではウエールズとイングランドで、2つのコースの組み合わせ。そして翌朝、成田行きの便に乗る前、もう一つのコースで18ホール回る。米は乗用カートに頼れるが、英はまず担いでの歩き。ラウンドしながらの、写真撮影が目的だけに、歩く距離は長い。頼りは足許。幸運なことに私は、長いことFJのシューズを使用してきた。
先々週のメモリアル。帝王ニクラスのトーナメントで、米ツアー初優勝を飾った、スウェーデン人、デビッド・リングマス。彼の足許に注目させられた。
ロリ・マキロイたち若い世代は、カラフルなスポーティタイプが目立つ。そんな時代にリングマスのシューズは、違って見えた。昔スタイルの黒。「これなら当然、靴底も昔風」と直感。訳を知りたくなり、早速アクシネットジャパンに問い合わせた。答えてくれたのは、JFフットジョイの斎藤政則部長。
「それは、今後展開予定のJFフットジョイ。そのアイコンシリーズのプロトタイプです」。
斎藤部長の話に依ると「使用モデルに関しては、プロの自由選択に任せます。制約は一切設けていません」そうだ。
「プロはスイング時の安定性。履いた時のソフト感などでセレクトします」。
その中で、プロ個人の個性と好みが、生かされることになる。
「その一つがクラシックなタイプ(FJアイコン)。次いでアダム・スコットが愛用のドライジョイタイプ。さらにハンター・メーハン達のスポーティタイプ。大別するとこの三つですね」と、前出の斎藤さん。
クラブ、ボールからシューズ、グローブ迄、トップメーカーが、重視するのはR&D。リサーチと開発。プロアマを問わず、そこから上がる膨大なデータを基に、求められる性能とデザイン性を重視して、商品ラインの開発を進めて行きます」。
今週18日に開幕する全米オープン。ここシアトル郊外のチェンバース湾コースは、恰もスコットランドの、デューンズを彷彿させる、開場8年の新設。全体に大きなうねりが多いことで、見応えのある戦いが、期待される。
その全米オープンでも、使用用具の比率が発表される。その中でタイトリストのボールとともに、FJのシューズとグローブは圧倒的。例年6割から7割に近い使用率を占める。
日本も含め、世界には実に多くのメーカーが鎬を削る。その中で約三分の二が使用する用具。それもメジャーの舞台で。これだけ市場の信頼を得る。それを支えるのは、紛れもなく集める情報の豊かさと、それに裏打ちされた、開発力と言える。
ナショナル選手権の開催目的。それは優秀な競技者を育てる。一方でメーカー同士の競争力を、高めること。それを教えてくれるデータだ。
(June.15.2015)